好きを仕事にする際に3つの要素が必要であると以前の記事で説明させて頂きました。
好きを仕事にする=”やりたいこと”x”求められていること”x”できること”
自分が好きなことで、さらに世間から求められていたことだったとしても、求められている水準の質や量を提供できなければ仕事になりません。また、本当にそれは自分が“できること”なのか考える必要があります。受け手・自分という異なる視点から”できること”を考え、どのように自身のできることを見つけられるか考えていきたいと思います。
受け手の視点:「できる」は誰が判断するのか
“できること“を考える上で重要なので、そもそも「できる」と判断するのは誰なのか。そして、どのように判断されるのか。まずは受け手の視点から考えていきたいと思います。
例えば自分は音楽が好きで、人々は常に良い音楽を求めている。しかし、自分は音痴かつ声質も悪いが、好きなバラードの曲ばかりを作っているとする。この場合、ごく一部のマニア以外には響かず、仕事にならないと考えられます。何故なら、人々は心地いい歌声をバラードに期待しているからです。“求められていること“を考えたときの式では(喜び-期待値)が重要であると話をしましたが、まさにこのハードルを越えられるかが「できる」の判断軸となるのです。
「できる」を判断する人:自身が提供するサービス・ものを受け取る人々。
どのように判断するか:受け手の喜びが期待値を上回るかどうか。
提供する側の視点:自身のできる=強みを見つける
次に「できる」を自身の強みという観点から掘り下げていきたいと思います。自分としてはいつも通りやったことでも周りから褒められる場合があると思います。これは、少ない労力でより大きな成果が出る分野だと言えて、そこが注目すべき強みだと考えます。逆に、好きだと思って取り組んでいても、思うように結果が出ないことや、知らぬうちに身体や心に無理をさせている場合もあります。その場合はできることではない可能性が高く、他の分野に注力した方が成功の可能性が高まると言えます。
強みについて調査している研究所・会社は数多くありますが、その中でも世界的に有名な会社としてギャラップ社が挙げられます。人々の強みとなりうる34の資質を明確にする「クリフトン・ストレングス(過去の名前はストレングス・ファインダー)」を開発した会社です。
また、同テストを開発した中心人物でありギャラップ社の元会長だった故ドナルド・クリフトンによる著書「さあ、才能に目覚めよう」は世界的に大ヒットし、クリフトン・ストレングステストや人間の強みについてより深く説明しております。ここで、クリフトン・ストレングスの強みに対する考え方を見ていきたいと思います。
<クリフトン・ストレングスが考える強みの公式>
才能(生来の考え方、感覚、行動)x 投資(訓練、スキル開発、知識構築)=強み
才能:生まれつき決まっているもの。
投資:才能をもとに、時間・労力を投資して伸ばしていく。
強み:常に完璧に近い成果を生み出す能力であり、再現性があり、その人にとっては自然体。
<「さあ、才能に目覚めよう」に記載された別角度の強み>
才能 x 知識 x 技術 = 強み
才能:無意識な思考・感情・行動パターン
知識:学習・経験によって知り得た真理
技術:行動のための手段
最も重要なことは才能であり、それを正しく発揮するために知識や技術が必要になる
イメージを持ってもらうために、以下の絵で整理しました。
クリフトン・ストレングスは一貫して才能は人々が本来生まれ持っている人格・考え方などであり、幼少期に形成されたものであるとしております。そのため、まずはその才能を見つけ、その上で正しい知識と技術を身に付けることでその人特有の強みになるとしております。
個々人の性格や無意識にする思考・行動は習慣でもあり、それ自体が才能だと言えると思います。変えられない・変えにくい部分を軸に、それをどう活かすか考えることが大切だという点は納得できると思います。そこで、私もクリフトン・ストレングステストを受けて自身の才能を見つめ直すことにしました。
強みを分析:クリフトン・ストレングステスト
ギャラップ社は過去30年に渡り200万人以上の突出した才能を持つ人々を対象に、体系的な調査を実施し、才能分析テストを開発しました。人々によく見られる才能を34つに分け、テストを受けことでその人の34つの資質を強いものから弱いものへと全て順番通りに見せてくれます。現在(2021年12月時点)、このテストを2,650万人が受講済みであり、世界中で認知されているテストであると言えます。
<クリフトン・ストレングステストを受けて>
クリフトン・ストレングス テストのリンク先:https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/253634/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0.aspx
内容:テストはオンラインの性格診断のようなもので、180問を制限時間20秒の内にすべて答えるため、所要時間は30~40分程度です。言語は英語と日本語含め、それ以外の多数言語から選択可能です。※但し、少し翻訳に違和感を感じる質問もいくつかあったため、もし英語が得意な人は英語でテストを受けることをオススメします。
費用:3つの分野から2種類のテスト結果を受けることができ、その内容によって費用が変わります。以下表に費用と効果をまとめました。
テスト結果 | 個人向け | マネージャー向け | 学生向け |
上位資質(トップ5)のみ | 2,340円 | 4,680円 &マネージャー向け 人材開発レポート | 2,340円 学生固有の項目が レポートに追加 |
34つの資質(すべて開示) 「さあ、才能に目覚めよう」ebook &その他レポート各種 | 5,850円 | 9,370円 &マネージャー向け 人材開発レポート | 5,850円 学生固有の項目が レポートに追加 |
基本的には個人向けで問題ありません。そして、できれば5,850円のテストを受けることをオススメします。少し高いですが、34つの資質をすべて見ることで自身のすべての資質を包括的に捉えることができます。もし費用が高いと感じる場合は、トップ5のみの結果を見て、項目のより詳細の説明や理解を深めるために「さあ、才能に目覚めよう」の書籍をブックオフなどで購入することで似たような効果も得られると思います。また、トップ5のテスト結果から、すべての資質を開示するよう後日アップグレード(差額の費用は発生する)できるため、まずはトップ5資質のみをお試しで見るだけでもいいと思います。
マネージャー向けはより費用が高くなる分、部下を育てるための資質に基づいたレポートがついてきます。私はこちらのテストは受けておりませんが、部下の育成・マネジメントに自身の資質をどう活かすか知りたい人はぜひ受講してみてもいいかもしれません。
結果(34つの資質):上位5つの順番通りの結果は1/3300万人の確立であり、日本の人口が2020年時点では1,285百万人いることから、日本人では4人しかいない存在しない特有の才能となります。こちらを中心に、私の今ままでの経験・知識を合わせると唯一無二の存在であると言えます。
- 着想:アイディアに魅力され、一見共通がないものでも関連性を見出すことができる。新しいことを考えるのが好きで、単調的な業務を嫌う。
- 内省:考えることが好きで、知的な活動・議論が好き。何も考えずにやることは嫌い、あらゆることについて考える傾向がある。
- 最上志向:個人やグループの改善を促す方法として長所を見つけ、優れたものを最高レベルのものに変えようとする。弱みを直すことに対して苦手意識があり、弱みをコントロールしながら強みを伸ばすことをしたい。
- 慎重さ:意思決定や選択する際に細心の注意を払い、目の前の障壁を図ろうとする。あらゆることを想定してから判断したく、選択を急かされることを嫌う。
- 未来志向:未来について考えることが多く、将来的について考えることが多い。未来のあるべき姿やありたい姿を考えることができる一方、現状維持の考え方を嫌う。
- 親密性:親密な人間関係を好み、目標達成のために友人と努力することで大きな満足感を得る。
- 学習欲:常に向上することに駆り立てられ、時には成果より学ぶことに意義を感じる。
- 責任感:実行すると発言したことをやりとげ、誠実さと忠実さという価値観を大切にする。
- 自己確信:直感を信じ、リスクがあっても自分を信じて進む能力を持っている。
- 達成欲:多忙で生産性が高いことや物事を達成することで満足感を得る。
最下位:社交性 この資質が高い人は知らない人でもすぐに打ち解け、惹きつけ味方にできる。また、新しい人との出会いにワクワクし、打ち解けることに満足感を感じる。
結果(4つの領域):34つの資質を相対分布し、4つの領域(実行力、影響力、人間関係構築力、戦略的思考)において自身が貢献できる分野をを表すものです。
- 戦略的思考
- 実行力
- 影響力
- 人間関係構築力
戦略的思考の資質が高く、こちらは情報を取り入れ、分析し、適切な判断を下せるようにする力が優れているということになります。
結果からわかること:自身の上位資質を整理すると、より理想な自分や社会・未来のためにアイディアを出し熟考することができる。但し、思いつき行動するのではなく、状況を慎重に分析し、熟考を得たアイディアを具現化していくことができる、ということになると思います。基本的には自身の性格通りだという印象を受け、それを第三者が指摘し、言語化してくれることで自身をより深く理解できました。
意外だったこと:私はテストを受ける前に本を読んでいたため、自身なりに自己分析をした上でテスト結果と照らし合わせました。自己分析に対してテスト結果が当てはまるものには〇、トップ10内に存在しているものは△、当てはまらないものは×と分類しました。
自己分析トップ5:内省〇、自己確信△、学習欲△、戦略性×、活発性×
自己分析トップ6-10 :責任感〇、慎重さ△、ポジティブ×、個別化×、共感性×
テスト結果にはあるが、自己分析では触れなかった資質(資質の順位):着想(1)、最上志向(3)、未来志向(5)、親密性(6)、達成欲(10)
トップ10の内、予想できたものとできなかったものがありましたが、関連しているものも多いと感じました。最上志向の考え方では個人の長所に注目するという説明があり、それは自身が考えていた個別化をもう少し自身の考え方に沿う形で表現したものだと気付きました。一方、着想については、好きではあるものの、強みだと思ったことはありませんでした。そもそも考えることが好きという時点で強みであることに気づけて、自信につながりました。
最後に
できることを考えるということはすなわち、自信の強みを理解することだと言えます。まず初めに自信の資質を理解した上で“求められていること”、“やりたいこと”と照らし合わせ、伸ばすべき技術・知識を考えて“できること”にしていくという手順が望ましいと思います。その身に付けた強みはあなた特有のものであり、それを開花させる努力を続けていければ必ず他者との差別化ができます。あとは受けてが求めるレベルに達することができれば、必ず成功できると言えます。
あらゆる者が強みによって報酬を手にする。
ピーター・ドラッカー 米経営学者・社会学者
弱みによって、人は何かを成し遂げることはできない。
まずはあなた自身の資質、強みを分析してみましょう。そしてそれをいかに伸ばすか、いかに活用するかを考えること自体がとても楽しく、ワクワクすると思います。そして結果的に成功への近道にもなると信じております。
では、また。ゆとりのある日々を。
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