前回からの続きとなります。もしまだ前回の内容を未確認の場合はこちらから確認してみてください!
さて、ここで整理すると、MECEの切り口は大きく分けて2種類存在するといえます。
1.全体集合を完全に要素分解できる場合
例)性別、年齢、地域
2.漏れや重複が絶対にないとは証明できないが、これだけ押さえれば大きな重なりや欠落はないと見做せる場合(既存フレームワーク)
※以下いくつかの一般的なフレームワークをリスト化しました。もしフレームワーク自体が分からなければインター ネットで調べて頂ければと思います。
考え方 | フレームワーク | 目的 |
要素 分解 | 5W1H | 情報を包括的に整理 |
因数分解 | 物事を掛け算で捉え、関連する要素を把握(例:売上=客数X客単価) | |
PEST | 市場環境の全体像把握 | |
SWOT | 外内部環境を4つのカテゴリーで要因分析し、経営資源の最適化を図る | |
3C | 事業の現状の全体像把握 | |
QCD | 生産管理や業者選定における評価 | |
マーケティング4P | マーケティング戦略の全体像把握 | |
組織7S | 組織運営の全体像把握 | |
製造4M | 商品の製造に影響を与える要素 | |
フィッシュボーン | 問題に対して原因追及 | |
概念 | 効率・効果 | 施策の影響把握 |
質・量 | 施策の影響・方法把握 | |
目的・手段 | 何のために、どのように、を把握 | |
デメリット・メリット | 施策・選択肢の良い・悪い点を把握 | |
事実・判断 | 客観と主観を分かりやすく提示 | |
流れ ・ステップ | 短期・中期・長期 | 時間軸に合わせた戦略・方針立案 |
過去・現在・未来 | 過去・現在を踏まえた将来的な戦略・方針立案 | |
PDCA | 計画・行動・見直しの一連プロセス把握 | |
カスタマー ジャーニー | 顧客が商品と出会い、購入に至るまでのプロセスを可視化し購買行動を把握 | |
バリューチェーン | 自社の事業活動の各工程を可視化し付加価値を見出す |
世の中にはフレームワークがたくさん存在し、フレームワークはMECEの切り口であると言えます。自身が何を相手に伝えたいのか整理し、相手により伝わりやすいフレームワークや切り口を検討することが、伝え手にとって最も頭を使う点です。もしフレームワークが存在しない場合、自身が適切だと思う切り口で物事を整理することも可能です。厳密にMECEであることに価値があるのではなく、相手にとって価値のあるMECEであることが大切であるとご理解頂ければと思います。
2)話の飛び
話の展開に誰しも納得できる関連性があるか、もし関連性がない場合は話が飛んでいるということになります。話が飛んでいると相手にとって理解しづらい論理展開になり、納得感が薄れます。
悪い例
今日は雨が降っているから膝が痛いな。
どうよう関連性があるんだろう?
良い例
今日は雨か。実は今膝に水が溜まっていて、低気圧になると膝が痛むんだよね。雨の日は低気圧になるから、今、膝が痛いんだよね。
(整理すると①雨が降っている⇒②気圧が下がる⇒③水が溜まっている膝が痛む)
なるほど!
話に飛びがないかどうかについては、So What/Why Soを活用することで検証できる。
<So What/Why So(だから/なぜなら)>
So What: ABCと言える→だからこれが結論だ
Why So: 結論はこれ→なぜならABCであるから
次に説明する「論理の基本構造」におけるそれぞれのレベル(結論、ABC、a-1a-2a-3…)でSo What/Why Soが成立していれば話の飛びがない状態だと言えます。また、2種類のSo Whatが存在します。
- 観察のSo What:要点を抽出するもの。
- 洞察のSo What:ある情報から違う種類の情報を引き出すこと。
具体例
バナナの価格が1月は200円、2月は220円、3月は210円だった。
観察のSo What: 1-3月のバナナの価格は平均210円台であり、例年より高い。
洞察のSo What: バナナの価格が例年より高い。天候が悪くバナナの収穫量が減ったこと、輸出先の需要が増えたこ とが影響していると考える。
注意点:人々は自身の関心事や慣れ親しんだ文脈に沿って物事を解釈する傾向があります。そこで、伝え手は自身が伝えたい内容(観察・洞察)を明確にし、相手と共通の認識を作り出すことが重要です。
具体例① – 伝えたい内容・メッセージが不明確
1-3月のバナナの価格は平均210円台です。
今年のバナナは例年より高いな。
バナナはまだマンゴより安いわね。
210円と言われても、、安いの?高いの?
具体例② – 伝えたい内容・メッセージが明確
1-3月のバナナの価格は平均210円台で、例年より高いです。
今年のバナナは例年より高いな。
バナナは例年より高いのね。それでもマンゴより安いわね。
バナナは例年より高いのか。あらゆる果物が値上がりしているな。果物以外の商品を検討した方がいいのでは。
このように、相手と共通の認識を作ることで次の話の展開が相手に理解してもらいやすくなります。
先ほどの例だと、次の話の展開が「廃棄バナナを再活用する」という提案だった場合、バナナが値上がりしているという共通認識を作れていない例①ではなんで廃棄バナナを使うの?と疑問が生まれてしまいます。
一方、すでにバナナは値上がりしているという共通認識を作れている例②では、仕入値が上昇により収益が減少しているバナナの廃棄ロスを削減することで、利益を最大化できる、という狙いを適切に相手に伝えることができます。
(解説③へ続く)
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