特に社会人1年目の頃、「ロジカルに説明しろ」・「ロジカルな資料を作成しろ」という指示をよく受けていました。ただ、実際には指示する人によって「ロジカル」の定義が曖昧であったり、何をどのようにしたらいいのかはっきりしないことが多々あったと感じます(今思えば指示がロジカルではなかった)。そこで、一度立ち止まって「ロジカル」とは何か整理したいと思います。本記事を書くに当たって、2001年に出版された本「ロジカルシンキング」、照屋華子・岡田恵子著作を参考にさせて頂いております。この本は、日本へロジカルシンキングが輸入されるきっかけとなった本であり、今でも本書には多くの示唆があり、ロジカルシンキングの本の中では最もまとまっており、エッセンスを捉えていると感じております。
ロジカルシンキングが普及した背景
こちらは以前書いた記事を参照頂ければと思います。
要は、ロジカルシンキングは自身と相手との前提理解を揃えるフレームワークであり、特に人々の価値観や考え方が異なる場合に効果的です。国際的なコミュニケーションにおいては英語と同様に重要なコミュニケーションスキルであると言えます。
さて、ここからはロジカルシンキングとは何か、ということを掘り下げて理解していきたいと思います。
メッセージとは
ロジカルシンキングに入る前に、コミュニケーションについて考えたいと思います。コミュニケーションとはメッセージのやり取りであり、自身が考えていることを相手に適切に伝えることが求められます。では、メッセージとは何か。
<メッセージを構成する3つの要素>

- 課題: 相手に伝えるべき課題・テーマがある
- 答え: 結論を伝え、その結論を支えるための根拠を示す。また、結論がアクションの場合、具体的な方法・やり方を提示する
- 期待する反応:相手に伝えた後、どうしてほしいか。
このように、メッセージとは上記3つの要素を含むものであると言えます。まずは具体例を確認してみてください。
具体例
あなたの家は職場から1時間かかる。家族に引っ越しを打診したい。
- 課題: 引っ越しをするべきか
- 答え(結論): 会社から5分の家に引っ越す。
- 答え(根拠): 職場でのパフォーマンスが悪い→仕事に集中できない→毎朝会社への通勤に1時間かかっており、会社に着くころには疲れてしまい、集中力が低下している。疲れの原因である通勤を取り除くために引っ越すべき。
- 期待する反応:妻(相手)からの同意。
このように、普段は無意識に、意図せずできている部分もあると思います。ただし、当たり前だからこその落とし穴や注意点もあります。以下がメッセージの確認事項となります。これらがすべて「はい」と答えられ、3つの要素も抜け漏れがなければあなたのメッセージは明確であり、相手に伝わっている可能性が高いと言えます。一方、確認事項に「いいえ」が含まれている場合うまく伝わっていなかったり、3つの要素が抜けているとそもそも何の話をしているのか、話を聞いて「で?」と相手に思わせたりしているかもしれません。
<メッセージの確認事項>
- 「課題」と「期待する反応」が明確か。
- 結論が課題に応えているか。(ただの要約になっているのはダメ)
- 結論が明確で具体的な行動に移せるか。(曖昧で具体的行動に移せないのはダメ)
- 根拠/方法がロジカルであるか。この点をロジカルに伝えるために「論理の基本構造」を利用しているか。
※「論理の基本構造」については後ほど説明します。
ロジカルなメッセージ
さて、ロジカルなメッセージとはどのようなものでしょうか。結論と根拠/方法が互いに関連性を持ち、その関連性を客観的に見たときに納得性が高い場合、ロジカルであると言えます。一方、客観的な納得性を弱めてしまうのが(1)重複・漏れ・ずれと(2)話の飛びです。
(1)重複・漏れ・ずれ
結論を支える根拠/方法などに重複・漏れ・ずれがあっては納得性が薄れてしまい、相手を疑心暗鬼にさせたり、相手の理解スピードを遅らせてしまいます。相手には全体像を見せてあげることで重複・漏れ・ずれがないことが確認できます。その際にMECEという考え方が重要になります。

<MECE>
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとったものです。日本語では重複・漏れ・ずれがない状態を指します。先ほど触れましたが、MECEであることで伝え手は全体像を見せられ、相手は理解しやすい・聞きやすい状態になります。
具体例 – MECEになっている

世の中には2種類の人がいる。年収1000万円以上の人とそれ未満の人。

まあ、そうだよね。どんな話だろう。
具体例 – MECEになっていない

世の中には2種類の人がいる。年収400万円の人と、年収1000万円の人。

いや、もっと他にもいるでしょ。この人の話信用してもいいのかな?最初からあまり信憑性がないかも。。
注意してほしいのは、MECEの切り口はたくさんあるという点です。
先ほどの例のように、年収を2グループではなく5グループに分けることも可能ですし、年収ではなく職業で分類することも可能です。他にもいかに収入を上げるかという話なら成功者の事例を因数分解し要素分解したり、あなたの現状をSWOT分析し適切な対応を検討することも可能です。このように、一つの事象でも複数の切り口があります。
(解説②へ続く)
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