【世界を広げる】フレンチ食い倒れ@パリ:前編

フランスと言えばどのようなイメージがあるでしょうか。エッフェル塔・シャンゼリゼ通りなどの華やかな街並み、ベルサイユ宮殿のような歴史的な美しい建築、美味しいワイン、そのワインに合う最高のフレンチ。色んな素晴らしい観光名所、体験がありますが、今回は私がフランスへの1週間の一人旅で行ったフレンチ食い倒れの経験についてお話したいと思います。

過去の旅を振り返りながら書いた記事も多いため、最新情報ではない可能性がある点、ご了承ください。

旅のテーマ:フレンチ食い倒れ

当時、私の父親がフランスで仕事をしており、一人ならソファーベッドで泊まれるとのことだったので、迷わずフランスに行くことを決めました。一人旅ということで特にどうしてもこれをやりたいという希望もなく、まずは日程と飛行機だけ抑えました。

その後、1週間分の旅行かつ父親の家を宿泊拠点にできるということで色んな旅を考えられました。パリで凱旋門・エッフェル塔を見たり、フランスの地方にあるブドウ農園・ワイナリーにでかけたり、モンサンミッシェルに行ったり、隣国のオランダ・イギリスに行くことも考えました。

しかし、やりたいことをすべて詰め込むとせっかくの旅行なのに疲れてしまうため、1つだけテーマを絞ることにしました。そこで、父親の家がパリにあること(エッフェル塔から徒歩15分)からパリを中心に考えることにしました。その上で、今まで日本では高すぎて敬遠していたフレンチをせっかくなら本場で食べてみようと思い、フレンチ食い倒れを実行することにしました。

旅テーマ実行の心構え:フレンチ以外はお金を使わず、開店と同時に入店

テーマを決めたのはいいのですが、決断したのがすでにフランス行きの飛行機に乗った後でした。パリへ到着したのが日曜日の午前中でした。その日は父親が空港まで迎えに来てくれ、パリ市内の観光(エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通り、ノートルダム大聖堂、市内のお店等)を車でぐるっと連れて行ってくれました。

私がパリ滞在中、父親はそれ以外の日は基本仕事があるため、到着日だけ色々と連れていけるということでパリの有名どころを詰め込んでくれました。私もフレンチ食い倒れというテーマは決めたものの、有名どころは見てみたいという気持ちがあったので、有難く市内観光を堪能できました。

凱旋門

翌日からフレンチ食い倒れを実施することを決めました。ここで大きな問題に直面するのですが、(1)本場フレンチをたくさん食べて、破産しないかどうか、(2)お店をどこも予約しておらず、当日行っても入れるかどうか、という当たり前といえば当たり前の問題を突き付けられました。但し、そこは以下の考えのもと、実行を決断しました。

(1)昼のコースであれば、夜の半額(それでも一流フレンチなので1-2万円は確実にする)でほとんど同じ内容が楽しめます。また、お酒を飲めば飲むほど高くなるものの、フレンチなのにワインを飲まないのも寂しいので、ワインは1杯だけ飲んでいいことにしました。

そして、滞在中はフレンチ料理以外ではあまりお金を使わないことにする(朝・夜ご飯は父親の家にあるご飯で軽く済ませる、宿泊費も当然かからない)、ミシュラン3つ星などの高すぎるお店(Epicure、Pierre Gagnaire等)は行かない、という自分ルールをいくつか作ることにしました。

(2)私が食事するのは基本平日であり、そもそも人が少ないのではと推測しました。また、お店の開店時間(11:30か12:00)にお店に一番乗りで訪れることができれば、そのまま入れるか、予約が埋まっていてもお昼の後半の時間や別日でのお昼の予約をしてもらえる可能性が高いので、入店できる確率が高くなると考えました。

本来であれば電話して予約していく方が効率はいいと思いますが、旅行者なので現地で使用できる電話をもっておらず(国際電話料金になってしまう、、)、お店のホームページで予約しても確認・承認まで時間がかかる(しかもフランス語しかないサイトも多い)ということで取り敢えず場所と開店時間を調べ足を運ぶという行き当たりばったり作戦を実施することにしました。

旅の備忘録:1週間でフレンチ5軒制覇

結論から言うと、私は本場フレンチを合計5軒で食べることに成功しました。フレンチ料理の総額は約700ユーロ(約9万円)で、想像していた旅行の予算内に収めることができました(ただし、5軒中1軒は父親と一緒に訪れ、奢ってもらいました)。

想定通りの食い倒れができたこと、そこで新しい発見があったこともあり、大満足の旅となりました。結果的に私が行ったお店はフランスで活躍している日本人のお店が多く、同じ日本人として、主戦場のフランスでフレンチ料理店を構えている日本人シェフを誇りに感じながら、堪能することができました。

食い倒れ Day 1:Passage 53

Passage 53 

ミシュラン2つ星 佐藤伸一シェフ

※私が訪れた後に店名がLa Table du 53に変更され、残念ながら21年12月時点では閉店してしまっているようです。

ランチコース120ユーロ+白ワイン1杯

父親が持っていたフランス観光ガイドブックの中で紹介されていたお店で、パリ市内からも行きやすいと感じたため、食い倒れ初日に訪れることにしました。場所は19世紀に建てられたアーケード街「パサージュ・デ・パノラマ」にあり、こちらのアーケード街はフランスの歴史的建造物にも指定されております。

19世紀に建てられたアーケード街 「パサージュ・デ・パノラマ」

しかし、お店の看板がなく、カーテンで覆われておりお店の中も見えないようになっているため、最初は全く気が付きませんでした。ガラスに貼ってある紙を見て初めて正しい場所に辿り着いたことが分かりましたが、開店しているのかも分からず必死にカーテン越しに中の様子を伺ってました。

Passage 53の入り口。実際に私が入店した際の状態。

初めて訪れる高級フレンチだったので当然緊張はしてました。簡易的なランチもあったものの、せっかくなのでフレンチコースをオーダーしました。コースの金額は120ユーロと想定していたものだったので、無理しなければ今後の食い倒れも予算内に収まると考えました。

店内は白基調であり、モダンながら少し温かみのある雰囲気でした。そうこうしているうちにコースが始まり、白を基調とした今まで見たことがない食器に載って食事が順次運ばれてきました。

Passage 53 店内

これがフレンチか!今までフレンチコースを食べたことがない私にとって、想像豊かなお皿を見るだけでテンションが上がりました。特に最初のスープとウニは今まで食べてことがない触感ながら味はしっかりしていて、衝撃的でした。シーフードがとても美味しかったため、メインのお肉料理が少し残念に感じ、すべてシーフードで統一されていても良かったと個人的に感じました。

食事の所要時間は2時間半ほどで、とてもゆったりとした時間を感じることができました。私の場合は一人だったので、次の料理が運ばれてくる間は味を噛み締め、持っていた手帳に食事の絵を描いたり、内容・味の感想などをメモして時間をのんびりと満喫していました(私が一人で食事し、熱心にメモしているのをウェイターが厨房に伝えたようで、日本人のパティシエの方がわざわざ様子を見に来てくれました!評論家か料理の道を進もうと思っている研究熱心な人だと思われたのだと思います)。

手書きメモ

最後に、お店のウェイターにオススメのフレンチを聞いてみたところ、David Toutainというお店を教えてくれましたので、翌日はそちらに行くことを決めました。

食い倒れ Day 2:David Toutain

David Toutain 

ミシュラン2つ星 David Toutain シェフ https://www.davidtoutain.com/

ランチコース120ユーロ+白ワイン1杯

さて、勧められたこちらのお店を調べてみると、素材の味を活かした独創的なフレンチであり、フランス人にも人気のお店であることが分かりました。Day 1 は問題なくお店に入れましたが、こちらのお店は予約がないと基本的には入店が難しいとネットでも書いてありました。お店はパリ市内の中心街にあったのでダメ元でトライしてみることにしました。

David Toutainの店構え

Day 1のPassage 53に訪れた際は、実はアーケード街の雰囲気に見とれたり、少し迷ったり、と開店と同時に行けませんでした。しかし、こちらのお店は開店と同時に必ず行きたく、同日の10時頃に場所の下見をすることにしました。当然誰もいないお店で、入念に開店時間も確認していると、アジア人の女性が一人お店の横にある小さな部屋に入り、そこで仕事の準備を始めまていました。私の行動を不審に思っていたのか、チラチラとこちらを見ていたので、チャンスと思って話かけてみることにしました。

David Toutainのレストランと関係がある方か確認してみたところ、なんとお店の予約を管理している担当の方でした!そこでなんとか昼ご飯を食べることができないか、旅行者で今週しかパリにいないがぜひ食べたい、ということをアピールしました。そのアピールが功を奏したのか、満席にも関わらず、特別に一人分の席をその日の昼に用意してくれると約束してくれました!担当の方に感謝し、心の中でアジア人の助け合いの精神を勝手に感じました。

本来は存在しない席なので、正面は厨房でした。ただ、これはこれで貴重であり、メインシェフのDavid Toutainシェフも見ることができました。店内は木と植物という自然を基調にした空間でした。

カキを使った料理ではカキの甲羅を敷いた演出、松の葉を使った料理ではお皿の周りに松の葉を。このようにどの食材が中心となった料理であるかを演出として見せてくれるのはとても楽しく、また私もその食材の味を意識して食べるので、細かい味を気にしながら食べることができました。

盛り付けは演出だけではなく、食材の味を最大限引き出す仕組みであると感じ、とても感動しました。

そして味はどれも繊細で、1つの料理の中で「幅」を感じることができました。最も衝撃的で美味しかったのがウナギの黒ゴマ和えでした。

焼きウナギには旨味が凝縮されており、それを黒ゴマの優しい甘さで引き立てる。さらに、黒ゴマの下には青りんごのジュレと青りんごを細かく切ったものが入っており、それらが酸味を加え味の幅が一気に広がりました。さらに生の青りんごも加わることで、うなぎと黒ゴマ・ジュレのまとまった触感に加えシャキシャキとした触感が追加されるのです。

食材の味、触感という幅、そして使用する食材の盛り付け演出に魅せられ、この旅で一番印象に残るお店となりました。

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Day 3以降の体験、そして私が今回の旅を通して感じた学びは後編で!

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