前回からの続きとなります。もしまだ前回の内容を未確認の場合はこちらから確認してみてください!
論理の基本構造(ロジカル・ピラミッド)
さて、ここでは何度かすでに話が出ている「論理の基本構造」を見ていきます。こちらの構造を活用することで、ロジカルに情報を整理し伝えることができます。結果的に、ロジカルなメッセージを発信でき、相手から期待する反応を受け取る可能性が高まります。
<論理の基本構造>
横の関係
MECEの関係です。横の広がりはコンパクトの方が伝わりやすいため、目安としては3-4つが好ましいです。それより多い場合は、グルーピングをして横の広がりを抑えましょう。
縦の関係
So What/Why Soの関係です。それぞれのレベルでこの関係性が成り立つことを確認します。基本的には一つの結論に対して2段階程度が簡潔で伝わりやすいです。
イメージがしづらいと思うので、まずは事例を確認してみてください。
具体例
毎年の給与テーブル見直しを行っています。あなたは人事部長に給与ベースアップを打診します。
今回は事例なので縦は1段階のみ、横も2つのみと限定しております。このように、縦(So What/Why So)・横(MECE)に情報が整理され、相手にとってわかりやすい説明になります。
グルーピング
先ほど「論理の基本構造」において横の広がりが多い場合はグルーピングをした方が良いと記載させていただきました。グルーピングとは、ある共通項(性質、内容等)に基づき情報をまとめる行為を指します。
上の事例は、形でまとめたり、色でまとめたりすることができます。このように、その状況において適切なグルーピングを考え、情報を整理することが大切になります。グルーピングについて、以下ポイントです。
- 分けたグループ同士が相互にMECEな関係になっていること。
- 自身の結論を説明する上で相手に伝わりやすいよう分類すること。
- グルーピングのバランスを考えること(グループAが1つ、グループBが9つ、という分け方はバランスが悪く、効果的な分類ではない)
論理の基本構造 – 活用
さて、次に「論理の基本構造」の活用編に入ります。基本構造は2パターン存在します。
1. 並列型
情報を並列に見せて、全体像を示します。
- 根拠を並べる
- 方法/手段を並べる
適用ケース
- 課題/テーマに十分な理解度や興味を持たない相手に、自分が伝えたい内容の全体像を示したいときに有効。
- 決定事項の連絡・確認など、結論に関して相手とは議論の余地がない内容を伝えるときに有効。
- 自分の思考検討の広がりに、重複・漏れ・ずれがないことを強調して相手を説得したいときに有効。
2. 解説型
事実、判断基準、判断内容を示しながら、思考の流れを示します。
- 根拠を解説する
- 方法/手段を解説する(複数選択肢の中で、なぜこの方法がベストか妥当性を訴求する)
※注意点1:事実が妥当であること。事実の妥当性は先ほどの並列型で説明するなど、相手が納得するよう説明。
※注意点2:判断基準が明示されており、その判断基準が今設定されている「課題」の「答え」を導き出すためのものとして、相手から見ても妥当な内容であること。
適用ケース
- 客観的事実で共通認識を作り、自分の思考の流れを示し、相手に自分の結論の妥当性を強調したいときに有効。
- 相手から意見や助言をもらいたいときに有効。
- 複数選択肢から、選んだものが妥当であると証明したいときに有効。
コミュニケーション
さて、ここまでロジカルシンキングを解説してきましたが、ここで皆さんに認識頂きたいのは、ロジカルシンキングはコミュニケーションのツールの一つであり、相手とのコミュニケーションを円滑にするためにはロジカルシンキングだけでは不十分であるということです。ここまで読んで下さった皆さんからしたら「え!?」と思うかもしれませんが、すでにこれが感覚的に正しいと理解していると思います。彼氏が起こっている彼女に論理的に説明しても納得するどころかかえって相手を怒らせてしまう可能性があります。
実際のビジネスや日々のコミュニケーションのシーンでも、相手がどれほど予備知識があるのか、相手が何を聞きたいと思っているのか、これらによって伝え手がどのように情報を整理し(どのようなMECE切り口が最も相手に響くの)、いつどのように伝えるのが適切かなど意識する必要があります。
これらを把握するスキルはアナログ的スキル(人間的なスキル)と言えます。相手が普段からどのような発言をして、どのように物事を考えているか把握することで、これらのポイントを把握できます。要は、しっかり相手の話を聞き、相手を理解することが大切であるということです。簡単だと思うかもしれませんが、意外と「相手の話を聞く」ことができている人は少ないと個人的に感じています。。(ここは書き始めると長くなるので別の機会に)
最後に
ロジカルシンキングという基礎的なスキルは誰しも持っていた方がいいと思います。国際的なコミュニケーションにおいては必須であり、日本だけでも職場、近所、家族同士の会話であっても自身が思ったことを適切に伝えるためには有効なツールです。世の中には数多くのロジカルシンキングに関する本や研修が存在するため、ロジカルシンキングやMECEの切り口に関する情報を継続的に集め、自身の知識をアップデートし続けてほしいと思います。また、ロジカルシンキングを取得できたとしても、相手を納得させることができるかどうかは別問題ですので、ロジカルシンキング・アナログ的スキルの両方を磨き、コミュニケーション力を向上して頂ければと思います。
コミュニケーションで一番大切なことは、言われていないことを聞くことである。
コミュニケーションで一番大切なことは、言われていないことを聞くことである
ピーター・ドラッカー(経営学者)
では、また。ゆとりのある日々を。
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