【海外での生活体験~アメリカ編~】公立学校の闇 前編

文化

私は幼少期の約10年間をアメリカで過ごしました。その時の経験を踏まえ、私なりに感じたアメリカ文化について共有できればと思います。他の国の文化を知ることで、自身の生活にその考えを取り入れたり、改めて日本の文化の良さを知ることができると思いますので、ぜひ読んでみてください!

今回はアメリカの公共教育について共有していきたいと思います。日本でも同じかと思いますが、同じ公立学校でも、学校によって勉強内容や方針が多少異なると思います。しかし、その中でもアメリカではある程度一貫した方針が取られていると感じております。それは各人のレベルに応じた教育を提供することです。私がその結論に至った背景・経験を共有できればと思います。

外国人に対する授業分け

私はアメリカの現地の小学校に1年生から通っています。アメリカの学校の年度基準は日本の4月~3月と異なり、9月~8月となります。私は4月生まれであり、日本の学校では1年生ですが、アメリカの学校では2年生になってしまいます。アメリカに来てアルファベットも分からない私は、まずは1年生から勉強を始めた方がいいと判断し、1年生に学年を落として入学しました。アメリカでは様々な家庭の事情を考慮し、学年を落として入学させることもよくある様です。

私が初めて入学した際は、英語は全く話せず、授業に全くついていけませんでした。国語(英語ではLanguage Arts。アルファベットの読み書きとは別で主に本の読解や文章を書くことに特化した内容)の授業では、英語ができない外国人の子供のためにESL (English as a Second Language=英語が第二外国語)の授業が別途設けてありました。ここでは外国人の生徒だけが集められ、通常の授業と比較してかなりレベルを落とした内容の授業が行われます

このような制度自体は素晴らしいことだと思いますが、一方で、他の子供たちと異なるレベルの英語授業を継続することになり、思うように英語のレベルが伸びないという問題があります。いわばぬるま湯であり、ずっと他の学生に英語レベルでは追いつけない環境ができてしまいます。

幸い私の場合は、2年生の担任の先生がESLのプログラム自体に疑問を持っており、「私がこの子の面倒を見るので、ESLに通わなくて結構です」と学校側に断りをいれました。そして私に対して、ESLは今後通わなくていいこと、他の生徒に交じりながら多少遅れながらも必死に食らいついた方が今後のあなたのためになること、を話してくれました。今ではその先生の判断、対応に感謝しきれません。実際、私と同時期にESLに通っていた子供たちと比べると、3年生、4年生頃に英語レベルで大きな差が生まれていたことを実感しました。

小学生の時から生じる授業のレベル分け:国語

そして、2年生から国語の授業には通常のカリキュラム通り授業を受けることができました。しかし、ここでもレベル分けがされておりました。国語の授業になると、その子の読解レベルに適した内容の本を読み進めるために、授業受ける先生生徒変わります私の小学校では4つのクラスがありましたが、国語の時間帯だけ4つのクラスが交じり合い、1番国語ができるクラスからレベル順に分かれていきました。その人の授業理解度を見ながら、年度の間に適宜レベル分けの見直しが行われました。

この実態だけ見ると、ぎすぎすした競争心丸出しの雰囲気になるかと思われるかもしれませんが、実際は穏やかで、普段と違った友達と授業できる機会と捉えていた子が多かったと思います。下のレベルのクラスだからという劣等感を感じている子供は誰一人いないと感じました。このような国語のレベル分けは小学校2年~4年まで続きました(私の小学校は1~4年生までであり、5,6年生は学校が変わるため)。私は最初は4番目のレベルから始まりましたが、2年生が終わる頃には2番目、3年生が終わる頃には1番目の授業に配属されました。

小学生の時から生じる授業のレベル分け:算数

国語のレベル分けについて話をしてきましたが、3年生頃から算数もレベルに応じてが分けられるようになりました。仕組みは国語と同様であり、テストや授業での出来を見ながら、生徒のレベル分けがなされます。算数に関しては日本の教育(後述しますが、補習校のこと)の方が進んでいたため、文章問題以外は全く苦労せず、小学校3年生頃には英語もだいぶ理解するようになっていたため、クラスの中では1、2位を争うくらい算数ができる方でした。そのため、3年生以降のレベル分けでは必ず1番目のクラスにいました。

そしてなんと、4年生の時には選ばれた生徒の中でもより優秀な生徒を集め、厳選された授業が行われました。通常のクラスは約25人ほどおり(ひと学年100人)、1番目のクラスの中でも優秀な5人のみが個別に呼び出され、特別授業が行われました優秀な人にはより良い環境を、というアメリカの競争社会を、この時は私も子供ながら感じました。

私の学校事情

ここで一度私の学校事情について整理させてください。まず、平日に送り迎えは黄色スクールバスという典型的なアメリカ現地の公立学校に通いました。そして、土曜日には海外に住む日本人向けの補習校に通い、合計週6日で学校に通っていました。

アメリカの学校制度・授業内容(地域によって体制が異なります。こちらはあくまで私の場合です)

1~4年生

小学校低学年。住所によって通う学校が決定。私の地域では4校あり、1学年には1校あたり100人程度。

授業内容:【国語(Language Arts)】、【算数(Math)】・【化学(Science)】・【社会/歴史(Social Studies)】・【音楽(Music)】・【美術(Art)・体育(Physical Education)】。

5~6年生

小学校高学年。4校の小学校が一つの学校に統合される。1学年合計400人程度。

授業内容:基本は1~4年生と同じ項目である(当然レベルは向上していく)。また、【音楽】はバンドか声楽の選択式になる。

7~8年生

中学校/ミドルスクール。中学校と同じ仕組み。

授業内容:基本は同じであるものの、【美術】の時間が無くなる。その代わり【工芸】、【情報】の授業が追加される。また、ここから学校の部活がある。

9~12年生

高校性/ハイスクール。アメリカでは高校は4年間となる。

授業内容:1年目で履修しなければいけない授業が一定あるものの、あとは規定の授業数に達するよう好きに履修を組む。日本の大学と同じような仕組み。

補習校(外国に住む日本人用の土曜日に開催される学校)

補習校は、海外に住む日本人向けの日本語学校。ここでは、土曜日を使って日本のカリキュラムに沿った内容の授業を学びます。日本の公立小学校・中学校と同じ教材を使いながら、1週間分の授業を1日に短縮して勉強します。先生はその時現地に居た先生をできる人が実施しれくれます。授業の内容は当然日本と比較すると浅く広くになっていたと思いますが、毎週膨大な宿題量が出ていたことをよく覚えています、、

補習校は日本の教育カリキュラムに合わせているため、算数は半年から1年ほどアメリカの学校より内容が進んでおりました。私は現地校ではすでに補習校で勉強した内容を再度学ぶため、算数がものすごいできる子という扱いを受けることができました。それ以外の科目については残念ながら内容がほとんど異なり、応用することは難しかったです(国語と言ってもそもそも言葉が異なり、社会・歴史も日本の歴史とアメリカの歴史と内容が異なりました)。週6日も学校に通っていたため、特に小学生の頃は土曜日の補習校が本当に億劫でした、、

(後編に続く)

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