【海外での生活体験~アメリカ編~】人種差別!?学校のカースト制度について

アメリカ

私は幼少期の約10年間をアメリカで過ごしました。その時の経験を踏まえ、私なりに感じたアメリカ文化について共有できればと思います。他の国の文化を知ることで、自身の生活にその考えを取り入れたり、改めて日本の文化の良さを知ることができると思いますので、ぜひ読んでみてください!

今回はアメリカの公立学校におけるカースト制度の体験談を共有したいと思います。学校では自然とグループが出来上がっており、そのグループの序列ができていることが多いと考えます。特定のグループが学校のトップに君臨していることから、カースト制度に似ていると言えます。日本でも同じように学校の中でグループが出来上がり、一部の人たちが学校を牛耳ることがあると思います。さて、ここではアメリカの公立学校でどのようなカースト制度があるのか、その実態を見ていきたいと思います。人種について考えるきっかけになればと思います。

カースト制度

学校内には複数のグループが存在しており、学校の中での立ち位置はそれぞれ異なります。以下、グループをまとめ、個人的な順列をつけたものとなります。

順列グループ 詳細
1美男美女の白人クールでスポーツ万能な人たちが多い。頭もそこそこ良い。
2イケイケ黒人クールでスポーツ万能。白人グループより頭の良さは劣るが、ノリがよく、集団でいるとかなりイカつい。
3イカしたアジア人・
メキシコ人
時々美男美女白人グループや黒人イケイケグループと一緒にいるイカした人たちがいる。グループに所属しているものの、完全に溶け込んでいない印象。
4普通の白人スポーツチームに所属していたり、運動神経がそれなりに良かったり、勉強がそれなりにできる。
5クールなアジア人・
インド人
アジア人、インド人の中で頭がよく、運動神経が抜群の人たち。
6白人パンクロッカーやばそうな白人グループ(麻薬をやっているという噂がつき纏う)。ただ、時々イケメンがここに所属している場合があり、一定の地位がある。  
7普通の黒人、メキシコ人、アジア人、インド人人種を超えた付き合い、仲間も多いが、自然と人種別のグループが形成されていく。
7イケていない白人スポーツチームに所属していない、文科系もしくはマイナースポーツである。容姿もかっこ悪かったり、太っていたり。アニメが好きな少しオタク気質な人もここに所属。  
7Nerd(ナード)主にアジア人とインド人で構成されている。常に成績が優秀であり、「あいつら勉強しかしていないオタクたちだ」と上位グループに馬鹿にされている。

日本と大きな違いは、カーストと人種がある程度紐づいてしまっている点です。自然と白人グループは上位にて、その下に黒人、さらにその下に少数派ののアジア人やメキシコ人がいるという構造になっています。人種差別というほど大問題とは言えないものの、明確な区別は感じます。

カースト制度を目の当りに瞬間

最も顕著に表れるのは昼食の時間、放課後の時間、学校イベントなどです。そもそも授業中は席が決まっており、所属グループで固まることはありません。ですので自由席の食堂での昼食や、放課後部活がなく学校でつるんでいる人たちがグループに分かれていることを目撃します。また、修学旅行やプロム(ダンスパーティー)などの学校主催イベントでも見られます。これらタイミングは日本でも似ていると思います。

それ以外だと、例えば学校のアメリカンフットボールの試合に応援に来てくれる人たちもいます。基本的にはカースト上位のイケイケ白人・黒人グループに所属している人たちがスポーツでも活躍しているので、イケイケ女子やその友達が応援に来ます。また、アメリカンフットボールは人気のスポーツなので、スポーツが好きな“普通の人”たちも応援にきます。応援席でもやはりカーストのグループで固まっているのですぐにわかります。

さらに付け加えると、高校生から授業が自由選択になります。どの授業を受けるかはすべて自身で決められるため、自然と同じグループ同士で情報を共有し合い、似たような授業を取るようになります。

上記は物理的に各グループを目撃できる瞬間ですが、それ以外にも会話の中でカースト制度を感じることがあります。イケイケグループがオタク白人を気持ち悪いと言ったり、Nerdグループのアジア人やインド人に勉強できるんだからグループワークやっておいてと言ったり。これらは日本の公立学校でも起きることかと思いますが、やはり特徴的なのはカースト制度と人種が紐づいているため、人種である程度区別される点だと思います。例えば、アジア人でも勉強ができる人・できない人がいたり、運動できる人・苦手な人がいます(当然ですよね)。ただ、アジア人ということで「勉強できるんでしょ」、「どうせ運動音痴なんでしょ」とイケイケグループや普通のグループからも言われます。このように、その人の人種によって勝手にグループに紐づけられ、そのように扱われることがあります

カースト制度の背景

学校という小さい社会において、日本であろうがアメリカであろうがカースト制度自体は少なからず存在すると思います。また、小学校では明確なグループ分けはほとんど感じませんでしたが、中学校・高校と成長するにつれてグループが明確になっていくのを感じました。ここでは、アメリカのように所属グループが人種で別れる背景をいくつか挙げていきたいと思います。

  • 自由度が増す
    そもそも小学校から中学校・高校になるにつれて、学生の自由度が増し、自由時間や選択の自由が増えることでグループを形成しやすい環境になっていると考えます。
  • 自分らしくいられる安心感
    やはり同じアメリカ・学校という環境で育っているとは言え、その人の人種的背景により家族の価値観や考え方が異なる場合があります。それらはその子が受け継いでいることが多く、似たような価値観の人と一緒にいると自然と人種が同じ人たちと一緒になることがあります。
  • 親の影響
    親の影響も間接的にあると思います。アジア人・インド人は子供にしっかり勉強してほしい、そして良い大学に入ってほしいという強い思いがあります。そのため教育に熱が入り、気づいたら成績優秀なクラスに配属されたり、高校では大学に有利な進んだ授業を積極的に取る人が多くいます。一方、白人の両親は勉強のみならず、スポーツ・地域付き合い・宗教活動なども大切にしたりします。そのような活動に参加するよう子供には期待するため、子供たちは自然と似たような活動で顔を合わせるようになり仲良くなります。
  • 自我の芽生え
    中学生・高校生になるに連れて自我が芽生え、自身のアイデンティティについて考える人が増えていきます。どこかのコミュニティに所属したいという想いが強まり、わかりやすく人種で固まるということがあるのかもしれません。

個人的に感じること

カーストのグループが人種に分かれることは背景を考えるとある程度仕方がないと感じる部分もありますが、人種差別やステレオタイプに繋がりやすい環境を作ってしまうと感じました。ステレオタイプとは、相手の人種や見た目に基づいてきっとこの人はこういう人と判断することです。私もアジア人として、「勉強できるんでしょ」、「どうせ運動音痴なんでしょ」、「ちんこ小さいんでしょ」と言われてきました。さらに人種に基づいたからかいもあり、目を細めて「ニーハオ」と言われたり、日本人だというと「忍者」「寿司」ととりあえず言われることが多々ありました。日本人に対してはそこまで酷いイメージをもっていない人が多くて助かりますが、時々日本人の英語を真似して馬鹿にされることもありました。(最近は大谷翔平の活躍もあり、日本人というと「大谷翔平」と言われるかもしれません。)

このように、公立学校における人種に基づいたカースト制度はその後の人種差別、人種からかい(いじめ)に発展する可能性が高まるため、よい状態ではないものの、どうしたら改善できるか明確な解決策がないのも事実です。学校では人種差別はダメ、ステレオタイプは良くない、という授業が盛り込まれていたりしますが、これだけでは状況の改善は難しいと思います。一方、学校という社会の中で唯一人種によるヒエラルキーが存在しないと感じる場所は部活(スポーツ)です。トライアウト制度もあり実力が評価され、限られたメンバーで成果を出すためには人種差別・区別している余裕がありません。私もスポーツをしていたので、部活の仲間とはあまり人種の壁を感じることはありませんでした。このように、人種差別・区別を減らすためにはスポーツにヒントがあるのかもしれないとは感じつつも、ここら辺は別の機会に考えていきたいと思います。

最後に

今回はアメリカの公立学校におけるカースト制度の体験談について説明させていただきました。公立学校でのカースト制度は国に関係なくどこの学校でも少なからず存在すると思います。ただ、アメリカでは複数の人種が共存しているため、自然とカーストのグループと人種が紐づく形になってしまいます。そのため、その後の人生において人種差別・区別・人種によるからかいやいじめに発展する可能性があり、よい状態ではないと言えます。一方、改善策もなく、アメリカ社会の実態を表しているともいえます。アメリカから人種の問題が無くならない背景が理解できたと思います。一方、日本人の方でも人種の壁を感じる機会は少ないものの、「外国人」と相手をくくることがあると思います。外国人はこうだから、などといったステレオタイプや人種区別をなるべく持たないようにしつつ、外国人であったとしてもしっかり相手を「一人の個人」として見ていくきっかけになればと思います。

あなたは根っこからの人種差別主義者ではなく、あなた方がすべて作り出しているアメリカの社会が、あなたを人種主義者にしたということなのだ。

マルコム・X 米黒人解放指導者(1950年頃活動)

では、また。ゆとりのある日々を。

コメント