台湾といえばどのようなイメージがあるでしょうか。やはり外せないのは台湾グルメ!小籠包、牛肉麺、魯肉飯、胡椒餅、豆花、マンゴーかき氷。さらには「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルとなったとされている茶芸館がある九份など見所がたくさんあります。今回は、旅を通して発見した台湾のお茶文化の発展について話したいと思います。
旅のテーマ:お茶文化を知る
台湾グルメを食べたり、有名どころの観光場所に訪れたいというのはもちろんありました。それに加えて、妻が本格的な茶器を買って家でお茶を堪能したいという昔からの憧れがあり、茶器を購入するという目標がありました。そして台湾について調べてみると、台湾でのお茶文化が色んな形で派生しており、それらを体験したいと思いました。そこで、今回の旅の一つのテーマとしてお茶文化を知ると設定しました。
旅テーマ実行の心構え:お腹は常に6~7分目
台湾グルメをたくさん食べたい、さらにその上で色んなお茶を堪能したいと考えたときに、最も心配だったのが胃袋の限界です。台湾グルメを食べるにしても、お茶を楽しむにしても、全てのものは胃に溜まるわけであり、気を付けないとすぐにお腹がいっぱいになります。そうなると、当然ながら食べたかったものが食べられなくなってしまいます。
そこで、一つのお店で目当てのものだけを食べるもしくは飲むことにしました。ついつい昼食・夕食時には主食と付け合わせのサラダやご飯など注文したくなりますが、その気持ちをぐっと抑えます。喫茶店や茶芸館(お茶屋)でも、お菓子・スイーツの注文を我慢しお茶を堪能することに集中しました。(当然お菓子・スイーツが目当てであれば、注文します!)。
常に腹6~7分目を意識すると、次の場所への移動の関係で食事後すぐに茶芸館を訪れたとしても対応でき、どのお店でも楽しむことができます(お腹いっぱいのときに無理やり食べる・飲むほど苦痛なことはありませんからね、、せっかくの美味しい食べ物・飲み物が台無しになってしまいます)。
さて、今回は4泊5日の旅で、お茶関連のお店は以下行くことができました。
- Wangtea Lab
- 九份茶坊
- 阿妹茶樓
- 猫空龍門客桟
- 迪化半日茶屋
- 萃釅 ※こちらは残念ながら訪問できませんでした。
それぞれ紹介させて頂きます!
1.Wangtea Lab
こちらは130年以上の歴史を持つ老舗茶葉店「有記名茶」が2020年に立ち上げた新感覚の台湾茶カフェです。伝統的な製茶技術と現代的なデザインが融合した空間で、革新的な台湾茶体験を提供しています。

こちらではNitro(窒素)ガス入りの台湾茶と台湾茶ビールを注文しました。その他にもCO2(二酸化炭素)ガス入りの台湾茶、コーヒーのようなハンドドリップ式やエスプレッソマシンで抽出する台湾茶もあり、かなり実験的で革新的なお茶の楽しみ方を提供しているお店でした。
窒素ガス入りのお茶を初めて飲みましたが、炭酸より優しいシュワシュワした泡の感覚が飲む度に感じられました。窒素ガス自体には味はなく、自身で選択した台湾茶の甘味や深みを感じられます。ビールはクラフトビールのような味わいであり、ペールエールのような柑橘系の味のあとに、後味にすっきりとした茶を感じられました。いずれも爽やかな味わいであり、夏にちょうど良いドリンクだと感じました。
2.九份茶坊
九份茶坊は歴史的な建築と芸術的な雰囲気(オーナーがアーティストである)が融合した特別な茶芸館です。こちらは1991年にオープンし、九份でははじめての茶芸館としてオープンしました。台湾産の高品質な茶葉を使用したお茶を楽しむだけでなく、オリジナルの茶器や店内に展示された陶芸作品や絵画を鑑賞することができます。


こちらでは伝統的な台湾茶をしっかり体験できました。まず初めに茶葉を選びます。茶葉は選択肢が非常に多く、値段もピンキリでした。我々は比較的リーズナブルな木柵鉄観音(3500円ほど)を選択しました。何年も熟成された高級茶葉などは平気で数万円しました(茶葉を熟成させることができるんだ、ということも初めて知りました)。
そして、茶葉を選んだらお茶の淹れ方を店員さんが教えてくれます。

<台湾伝統茶の楽しみ方>
- 【準備】器具を並べる
茶壺(急須)、品茗杯(飲むための杯)、茶盤、茶海(ピッチャー)を整えます。囲炉裏には鉄瓶がセットされ、熱々のお湯を準備されます。台湾茶、特に我々が選択した鉄観音は熱々のお湯で問題ない、むしろその方が好ましいみたいです。 - 【温杯・洗茶】茶器と茶葉を温め・すすぐ
熱湯で利用する茶器を温めます。一度お茶を入れる手順で、全ての茶器にお湯を巡らせます。茶器を温めることで、香りが立ちやすくなるみたいです。 - 【淹れる】茶壺に茶葉を入れて抽出
茶壺に茶葉を入れ、適温のお湯を注いで抽出します。第一煎は捨てるお店も多いようですが、ここの店では第一煎を時間をかけて抽出し(50秒ほど)、一煎目から味わいます。 - 【分茶】茶海(ピッチャー)に移し、均一化
味を均一にするため、抽出した茶をいったん茶海へ移します。 - 【品茗】品茗杯で味を楽しむ
少量の茶を小さな杯(おちょこと同じ大きさ)で味わいます。 - 【複数回抽出】2煎目・3煎目…と続ける
高品質な台湾茶は5〜8煎まで淹れることができます。その都度抽出時間は変わり、2煎目は20秒、3煎目は25秒と徐々に時間が長くなっていきます。抽出ごとに香り・味の変化を楽しむことができ、これが台湾茶の奥深さとも言われております。
お茶の香りがとても香ばしく、とてもおいしい鉄観音でした。さらに、店内の内装、囲炉裏、おしゃれな茶器など一つ一つにこだわりを感じ、お茶の味だけではなく空間ごと楽しめました。お茶を楽しむということは、味だけではなく空間ごと楽しむことであることを改めて認識させれる体験でした。そして、我々は囲炉裏を囲みながら、ちびちびと何杯もお茶を楽しみながら、安らぎの時間を過ごすことができました。
3.阿妹茶樓
こちらの茶芸館も九份にあり、阿妹茶樓の独特な建築と雰囲気から、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋のモデルとされております。店内からは基隆嶼や太平洋を一望でき、素晴らしい景色を楽しみながら台湾伝統茶の体験もできるお店となっております。

こちらのお店では、私たちは一人2000円くらいの台湾茶お試し体験を選択しました。セットには伝統お茶菓子と台湾茶(高山茶)が含まれております。

こちらのお店でもまずは店員さんがお茶の淹れ方を指導してくれます。

台湾茶の淹れ方については先ほど記載させて頂いた通りですが、この店では第一煎は捨てていました。また、聞香杯(香りを聞く杯)にお茶を注ぎ、その香りをじっくりと嗅ぎながらお茶の香りを楽しむことができました。
体験としては面白かったのですが、直前に本格的な茶芸館(九份茶坊)に行っていたこともあり、阿妹茶樓のお茶体験は観光化されていると感じました。おばちゃんが勢いよくお茶を準備してくれている姿は力強さを感じるものの、九份茶坊の店員さんのような美しい所作とは程遠いものでした。
さらには、こちらの茶芸館の店内は喫茶店のようなポップで統一感のないものであり、お茶をじっくり楽しむ空間とは言えませんでした。また、こちらのお店では聞香杯を使いじっくりお茶の香りを嗅ぎましたが、聞香杯を使わなかった九份茶坊のお茶の方が香りが豊であったことに驚きました。
このような感想は複数の茶芸館を訪れたことで分かったことだったので、台湾の伝統茶体験を2店舗で体験し比較ができて良かったと思いました。
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